かもねぎショットとは

かもねぎショットは、日常に潜むドラマに独自の焦点を当てる演劇企画集団です。

第1期

創設者の多田慶子、木内里美と高見亮子の3女優の演劇集団として注目され、3名で共同創作する演劇作品と、伊藤多恵振付・演出の“生活ダンス”作品を発表。まだまだ女性が生きにくかった社会の中で、今を生き抜こうとする女性たちの本音とこだわりを描き、共感を集めた。
生活の細部にこだわり、動き、セリフともに日常を丁寧に探りながらの創作は、いわば森を描くために、木々どころか葉脈の一本一本に焦点を当てる作風。“生活ダンス”シリーズは、「演劇」「ダンス」「マイム」といった既成ジャンルの境界線を自由奔放に行き来する試みで注目を集め、伊藤の斬新な創作方法はダンス界・演劇界から大きな反響を呼んだ。

[主な作品]
『夢のあるうち今のうち』(朝日新聞「回顧 ’89」ベスト5に選出)
『東京の道をゆくと』(前橋演劇祭招聘)
『婦人ジャンプ』シリーズ(シアトル・ワシントン大学招聘 他、多数演劇祭参加)

第2期

伊藤振付・演出の“生活ダンス”シリーズと、高見作・演出の演劇作品を、多田と高見のほか、作品ごとに外部の俳優、ダンサー、パントマイマーなど多彩な表現者を招いて創作を行った。すべてオリジナル作品。
“生活ダンス”は、『婦人ジャンプ』シリーズから、男性を加えた『ダブルス』、疾走する街を描く『サークルダンス』へとテーマを変容させながら成長し続けた。
演劇作品は、共同創作から高見の脚本へ移行。日常に潜むドラマを様々な角度・視点で掘り起こす作風は、どこの国の話なのかと思っているうちに私たちの身近に迫る独自の世界。ひとつひとつ布石を見ているうちに、気づけば囲い込まれる。まるで囲碁の世界のようだ。

[主な作品]
『-新編-遠くを見る癖』
(第1回最優秀新人戯曲賞ノミネート。「優秀新人戯曲集1996」(ブロンズ社)収録))
『夢十夜シリーズ・道』『夢十夜シリーズ・霧』
『ロシアと20人の女たち』『子供と会議』
『サークルダンス』シリーズ(伊藤多恵振付・演出)

第3期(現在進行中)

高見、栗栖千尋、井草加代の3人で、作品ごとに多彩な表現者を招いて高見作・演出の作品を発表。エチュードを重ね、出演者の個性を引き出し、大きなテーマを身近な個々人の問題として扱えるまでに集約させて執筆にとりかかる創作スタイル。近年は、「原発」、「反戦」、「移民」などのテーマも、舞台作品ならではの構造と表現で取り組む。郷愁を感じさせつつ都会的、独特なユーモアと、観る人の琴線に触れる繊細さをあわせ持つ台詞が魅力。

[主な作品]
『福袋駅下車徒歩6分』『ペルセポリス』

「単館欧州映画を観ているような それでいて演劇でこそのようななんともいえぬ独特な世界観で むちゃむちゃ素敵な時間でした。
このテーマをこんなカタチで観せられるのか」(『ペルセポリス』観客アンケートより)

その他、短編作品集や、ダンサー、コントユニットとのコラボなど、表現の可能性を求め続ける。

「かもねぎショット」団体名の由来

「カモがネギまでしょって来たぞ」とは、「かもねぎ鍋」があまりに美味であることから派生した言い回し。そこで、観客にとっての「最高においしいもの」でありたい、そして鋭く突く視点をもち続けたい、というのが命名の由来。(※1980年代の結成当時は珍しい集団名として、命名の由来を必ず聞かれました)

移り変わりの激しい時代の中、今もめざすところは変わりません。