稽古場の先生たち

あけましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。

昨年は、立ち止まるとそのまましゃがみ込んでしまいそうで、走り続けた一年でした。でも、まだまだ走り続けねば。『ラプンツェルたち』の稽古場は、とても新鮮です。

昨年11月公演の稽古場では、俳優陣の不自由な「からだ」の特訓タイムが延々と続きました。演出の伊藤さんから懇切丁寧な説明が続くわけですが、目で見て頭で理解しても「からだ」がなかなか言うことを聞いてくれません。そんなとき、ふと稽古場を見回すと、出演者のダンサーの皆さんが全員、その「からだ」を真剣に見ていたものでした。そして、演出の意に沿うべく、伊藤さんとは別の角度から、あるいは違う言葉を使って「こうしてみてはどうだろう?」と次々と提案してくださいました。誰もあきらめず、一瞬一瞬が積み上がっていきました。「わあ。先生が大勢!なんて贅沢な!」と何度も感嘆しました。

さて、2月公演も、「からだ」が主役のシーンが山ほどあります。「こんなことをしてみたいんだけど、できるかな」と伊藤さんからの提案があり、するとまた、ダンサーの皆さんの頭がクルクルと回っているのが目に見えるよう。伊藤さんが試しに加わってみることもしばしばで、さまざまな「実験」の時間が流れています。

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黄色いダウンを着ているのが伊藤さん。この直後の「実験」は成功し、採用となりました。一瞬のことなので、お見逃しなく!

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こちらは、振付中の伊藤さんです。

そして、今回も、先生が大勢です。伊藤さんの、意外な提案に、「えええ!」と驚き、動揺を隠せない井草に、松本大樹さんが具体的で確実なアドバイス。「ここに力を入れて。こっちは力を抜いて。さっきやったのと同じだよ。ここ、ここに力を入れて。そうそう」。そして、松本さんは必ず「もう一回やりましょう。そうすれば、からだが覚えるから」と皆を引っ張っていきます。と同時に、その隣では、公門美佳さんがイメージのアドバイス。これが、あまりに的を射ており、わかりやすく、一堂の腑に落ちたので、呆気にとられたほどでした。例えば…
「パンツのゴム通しだと思って」
最初は皆「?」だったのですが、「後ろから押してもゴムは通っていかないけど、前から引っ張ればゴムは通っていくでしょ?」と聞いて大いに納得。もう一つは…
「紙相撲だ!」
トントントントンと、からだごとハネながら移動するときのイメージなのですが、これもまた、大いに納得し、「なるほどぉ!」と皆で大笑いしたのでした。
大事なのは、からだの柔らかさより、頭の柔らかさかも。